中山 茂 著
多くの人(少なくとも中年世代以上の)にとっては、立志偉人の一人にあげられる野口英世であるが、その本当の姿はあまり伝えられていないようである。
極貧の中で生まれたせいか、経済観念が乏しく、お金はあれば有るだけ使い、借金は、踏み倒す。
お金は、ある人が、出せば良いと思っていたのかも知れない。
持てるものの何もない英世は、その存在感を示すために、留まることなく、がむしゃらに細菌と闘い続けたような気がする。
自分の志を遂げるために、多くの人を散々利用した印象もあるが、周囲の人にそうさせる魅力も備えていたのではないかと思う。
また、時代も、志を持つ人を育てるゆとりがあったのかも知れない。
同時代ライブラリー239
1995年10月16日 第1刷発行
発行所 (株)岩波書店
ISBN4-00-260239-7
C0323 P1050E