奥本 大三郎 著
ファーブル昆虫記の糞転がし(スカラベと言う虫らしい)の話を子どもの頃読んだ。
絵と虫のしぐさが楽しく書かれていた記憶がある。
筆者の虫やファーブル(昆虫記)との出会いから書き起こされていて、その虫好き、ファーブルへの尊敬の気持ちが、にじみ出ている本である。
並外れた根気・集中力で、虫にアプローチしている点は先週読んだ野口英世と似た所を感じた。
しかし、ファーブルは、子どもの頃からの虫好きで、好きな事に一生を捧げた点が、野口英世の悲愴感と異なり、読後にさわやかな感じを受けた。
また、日本で、最初に昆虫記を訳したのが、無政府主義者の大杉栄だったこと、大杉は、投獄の度に、運動できない時間を利用して、洋書を勉強したり、語学をマスターした(一回投獄で一語)と言う話が昔のインテリの志を感じて面白かった。
大杉は関東大震災のどさくさに、憲兵隊に殺され、昆虫記は第1巻しか訳せなかったとのことだ。
集英社新書0003G
1999年12月6日 第1刷発行
発行所 (株)集英社
ISBN4-08-720003-5
C0245 \680E