井上 ひさし 著
著者と本とのかかわりを自伝風に記した本である。
本との出合いは、運命的だ。”本が僕に向かって「読んでくれ」と訴えたのか。”と書かれているが、なんとなく分かる気がした。
著者は、野球選手、映画監督になることを夢見ていたこともあるが、本との関わりは、今でも続いている。
戦後、地方では、本が無く、東京へ闇米を売りに行き、そのお金で、野球を見て、残りで、本を買った話とか、寮の蔵書を売り払い映画を見た話など出ている。
また、大学図書館で意地悪な図書館員がいたり、国立図書館は、威張っていたりで、図書館嫌いになり、最低限自分に必要な本は自分で、揃えるようになったことから、最後には、13万冊もの本を溜め込んでしまったと言うのには驚いた。
この本は、生まれ故郷の山形の町に、寄贈され、遅筆堂文庫と言う立派な図書館が作られている。
2000年7月10日 第1刷発行
発行所 (株)文藝春秋
ISBN 4-16-711120-9
C0195 \390E