芥川 龍之介 著
表題の他、7編の作品が収録されている。
河童は、龍之介の晩年(1927年、35歳)の作品とのことである。
龍之介の作品は、殆ど読んだことが無かったが、カバーの河童の絵に何となくひかれて、本書を購入した。
精神病の患者が、語る形で、河童の世界が描かれている。
患者は、自分自身の姿として、描いたのかも知れない。
本書全体を通して、感じたのは、龍之介が、精神の病の苦しみや死と言う観念から離れることができなかったのではないか、また、別の理想とする世界を思い描いていたのではないかと言うことである。
それから、世界古今の思想・文学者などの参照が、作品中に非常に多くされており、猛烈な読書や勉強をした人では無いかと思った。
集英社文庫
1992年9月25日 第1刷発行
発行所 (株)集英社
ISBN 4-08-752027-7
C0193 \343E