斉藤 道雄 著
「べてるの家」というのは北海道の襟裳岬近くの浦河にある精神障害者の共同住居だ。
この住居は公的な施設ではなく精神障害者やソーシャルワーカー達が出会い自ら作ったものである。
精神障害者達は、自ら会社を起こし、事業をやり、地域と交流しながら生活している。
精神障害を良くないこととして、早く治して、社会復帰しなければいけないと言う考えがあるが、簡単に直るものではなく、これがますます病気や状況を悪化させると言うことがあるようだ。
精神障害と言う病気を持っていることを前提として、その病気を含めてその人のありのままの姿として、お互いに受け入れ、付き合い、生活していることが、べてるの家を知る多くの人に感銘を与えている点だと思う。
このように病気を受け入れることができるようになるには、本書に書かれていること以上に、大変なできごとや闘いがあるのだろうと思う。
健常者でも自分が本来の自分らしい生活をしているか、様々な悩みがあると思う。
病気の人たちが、自分の病気を、明るくあからさまに語ると共に、「自分はいい経験をしている」と述べているところは、もしかしたら彼等の方が、自然な生き方をしているのかも知れないと感じさせられた。
2002年4月16日 第1刷発行
発行所 (株)みすず書房
ISBN 4-622-03971-0
C0047
\1800E