西垣 通 著
著者は東京大学教授であり、情報学の専門家である。
本書は、コロンブスの新大陸発見と言う歴史事実を背景にし、同じ年に実施されたスペインのユダヤ人追放を絡めてストーリーが展開される小説である。
その頃スペインでは、キリスト教徒とユダヤ教からキリスト教への改宗者、ユダヤ教者の間で争いがあり、ユダヤ教からの改宗者やユダヤ教者が迫害されていた。
主人公は、キリスト教への改宗者であり、キリスト教の伝道を目的として、新大陸発見の航海への参加を目指す。
その頃人びとを惹き付けた思想家ルルスの思想と円盤機械にも影響され、より普遍的な真理も求めようとする。
しかし、ユダヤ教からの改宗者は、豊かな人も多く、偽装改宗者として、異端審問の名目で、捕まえられ処刑、財産没収されることが多く発生しており、主人公も巻き込まれる。
筆者は、情報学の専門家だけあり、歴史的なモチーフに加え、円盤機械が現在のAI(人工知能)・思考機械に繋がること、また、コンピュータの発展に寄与した人びとがユダヤ系の学者だったことなどもモチーフとして、本作品を書いたとのことである。
2002年7月5日 第1刷発行
発行所 (株)講談社
ISBN4-06-211090-3
C0093 \2000E