西垣 通 著
先月に続いて東大教授である筆者の小説を読んだ。
進化論と人種、人種の優劣等の思想、さらに、第一次大戦後のファシズム的政治理念を題材に作られた小説である。
アメリカが人種的に最も進化の進んだ国家であり、アメリカを中心として、世界が一つの国として、統一されることが世界にとって最も良いことなのか？
世界の進歩を理想とする博士の行為行動は、実は、個人の体験に基づいて行われているのか？
思想や理念を物語の形で、書こうとしているからなのかも知れないが、難解な言葉が、作品中に使われている。
タイトルの階梯という言葉もあまり馴染みのない言葉である。
その意味は、物事の発展の過程や学問の手引きと言うことである。
つまり、現代のアメリカ至上主義的な考え方のはじまりがテーマになっている。
2004年9月7日 第1刷発行
発行所 (株)講談社
ISBN4-06-212517-X
C0093 \1900E