J.D.Salinger 著
村上 春樹 訳
筆者が、今年、1月に、91歳で、亡くなったと聞いた。
本書は、筆者のベストセラー作品「ライ麦畑でつかまえて」の新訳である。
忙しかったのと、少し長めの小説であったため読了するのに時間が掛かってしまった。
この作品は、1951年の作品である。サリンジャーは、本作品の発表後、殆ど作品も発行せず、公の場からも姿を消したと言うことだ。
作品では、成績が悪く、高校を追い出された少年が主人公である。
学校を退学させられてから、2〜3日程度の短い時間の物語であるが、ある程度長い期間の話なのではないかと思うくらい、主人公の心情を細やかに描いている。
友だちや両親、教師、周りの人と理解しあいたいが、彼等の嫌な面も感じ、接したくない気持ちも有ると言うような、感受性の豊かな若者の心の動きを若者の語り言葉で書き記したものである。
自分でも自分の感情の動きを捕らえることができない身の置き場のなさを表現していると思った。
祥伝社新書
2006年3月31日 発行
発行所 (株)白水社
ISBN4-560-09000-9
C0297 \820E