吉村 昭 著
昭和2年5月1日生まれの筆者の幼少年期から終戦前後までのできごと、生活様式、生活の道具等にまつわる思い出をエッセイとしてまとめたものである。
季節感や当時の人々の工夫、戦争に絡む悲惨な思い出等が綴られている。
蚊屋や火鉢等最近は見られないものが当時は重宝されていた。
また、筆者も患ったとのことであるが、結核などの病気が広く流行っていたこと、蚤や虱なども多く居たということなど、最近の病気や衛生環境との違いなども語られている。
時間とともに昔のことは、風化し、美化されて行く傾向にあると思うが、筆者は、戦争や生活環境の悪さを考えると、決して昔が良かったとは言えないと語っている。
昭和初期の人間や生活を想像できる内容だと思う。
1993年11月30日 第1刷発行
1993年12月20日 第2刷
発行所 (株)文藝春秋
ISBN4-16-348140-0
C0095 P1700E