第37週

そして、奇跡は起こった!
- シャクルトン隊、全員生還 -

ジェニファー・アームストロング 著
灰島 かり 訳

初の南極大陸横断を試みた探検隊の記録である。探検は失敗したが、全員、奇跡的に生還できた。
イギリスの探検家アーネスト・シャクルトンは、世界初の南極点到達をめざすが、ノルウエーのアムンセン、イギリスのスコット大佐に先を越される。
新しく立てられた目標は南極大陸横断であった。
1914年8月準備を整えたエンデュアランス号と乗組員はイギリスを出発しようとしたが、ちょうどタイミング悪く第一次世界大戦が勃発する。
海軍長官だったチャーチルは、国威発揚に、南極探検を許可した。
10月26日にアルゼンチンのブエノスアイレスを出港し、捕鯨基地であったサウスジョージア島に11月5日に到着する。
浮氷の様子を見て、南極に向けて出港予定であったが、例年にない浮氷の多さのため、1カ月の足止めを余儀無くされる。
しかし、足止めが延びれば、南極の夏が過ぎてしまい船で南極大陸にたどり着くことはできないため、12月5日に、船出をした。
船出はしたものの浮氷の量が多く、とうとう1月19日に浮氷群に閉じ込められてしまい、南極大陸にたどり着けなくなってしまう。
ついに10月27日に氷の圧力で、船が壊れてしまい、船を放棄せざるを得なくなった。
最低限の物資と3隻の救命ボートを引きながら氷上を北に向かって移動してゆくが、次第に氷盤が緩み翌年4月8日に、ボートを水面におろして、ボートに乗り移る。
救命ボートは、浮氷と嵐のため思うように進めない。近くの島になんとかたどり着き、4月24日に6名が、22名を島に残し、救援部隊として、再度冬の海に出港する。
5月8日に、1300Km離れた、サウスジョージア島にたどりつく。たどり着いたのは、島の港のあるところと反対側である。
陸で少し休養して、5月18日に助けを求めて対岸の捕鯨基地をめざす。島には、高い尾根が走っている。
過去に誰も越えたことのない地図のない尾根を36時間掛けてこえることができた。
シャクルトンが船を用意して、島に残した隊員を助けに戻ったのは、8月30日であった。
2年近く氷の海に閉じ込められるが、誰も命を落とすことなく生還できた。
小さな反乱はあったが、最後まで、隊長の下、チームワークと前向きの姿勢を保ち続けることができたことが、生還をもたらしたと思う。

2000年9月25日 初版発行
発行所 株式会社評論社
ISBN4-566-05267-2
C0000 \1600E

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