楊 逸 (ヤン・イー) 著
著者は1964年中国黒龍江省ハルビン出身で、1987年に留学生として来日した。
本書は、当時、中国ハルビンで庶民が食べていたお菓子や食事の思い出を綴ったものだ。
教師の家庭に生まれたが、知識人の農村下放が、1970年に行われ、ハルビンの郊外の農村に移住させられたこともあった。
当時、食べるものもそれほど豊かでは無い中で、限られた食糧を色々工夫して、おやつにしてもらったり、年に一度の正月に、特別の食べ物を食べたりと思い出に残っている。
下放では、移住先の家が、窓も穴の空いたような家で、凍える生活をおくる。
発酵させるパン生地が冷えて固まるなど辛い生活をおくる。
ハルビンは、色々な肉の加工食品の生産が盛んで、ウインナーやサラミのようなものも市民は良く食べていた。
一家が引越したときに、つれて行けないペットの犬なども、近所の人達に食べられてしまったそうだ。
また、著者も驚いているが、かえるの丸焼きや煮物を食べている人もいた。
中国の色々な食べ物の香がするような本であった。
2010年10月30日 第1刷発行
発行所 (株)文藝春秋
ISBN 978-4-16-373160-5
C0095 \1429E