池井戸 潤 著
大田区の中堅企業のサバイバル物語である。
佃製作所の社長は、元宇宙航空研究所の研究員であったが、ロケット打ち上げに失敗し、責任を取る形で、職を辞し、父親の会社を継いでいる。
ロケット打ち上げの夢と打ち上げの失敗に繋がったエンジンバルブの改善を追求して、自社で特許を取得した。
しかし、大口の顧客からの受注キャンセル、さらに、大手企業からの知財権の買いたたきを狙いとした特許侵害訴訟を起こされる。
運用資金獲得のため、銀行に融資を依頼するが断られ、窮地に陥る。
佃製作所が取得した物と同様の特許申請を、ロケット開発大手の帝国重工も申請していたが、時間差で却下されており、次のロケット開発の計画に大きな支障をきたしており、特許権の買収を持ちかけて来る。
技術や品質には、自信のある佃製作所であるが、資金不足・特許権の扱いに慣れない中、特許訴訟、特許買収等の問題をどう切り抜けるか、会社一丸となっていけるのかなど、一気に読んでしまった。
企業としての闘いは続くと思うが、最後にロケット打ち上げに成功し、清々しい物語であった。
2010年11月29日 初版第一刷発行
発行所 (株)小学館
ISBN978-4-09-386292-9
C0093 \1700E