中村 文則 著
第４回の大江健三郎賞の受賞作品である。
主人公は天才スリ師である。その他、子どもに万引きをさせている母親、主人公などを使い強盗や暗殺などの事件を起こさせている黒幕の人物などが登場する。
主人公は、根っからのスリ師であり、お金のありそうな人物を対象に掏摸をするが、人に対しての悪意はあまり感じられない。
万引きをさせられている少年が万引きを見つけられ捕まることが無いように、注意したり、お金を払ったりしてやる。
一方、黒幕人物は、主人公らを事件を起こすための小道具として、だまして使ったり、ダミーの死体にするため殺したりも平気で行う。
一見、良い人や偉人風であるが、本当の悪者である。
主人公は、最後に、黒幕に撃たれる。主人公は、黒幕の意のままにされることに抵抗を試みるところで、本書は終わる。
主人公は、本当の悪である黒幕に、一矢を報いることができるのか、黒幕の筋書き通り、消されるのか？
読者としては、黒幕に一泡吹かせることができることを期待するが。
2009年10月30日 初版発行
2009年12月9日 7刷発行
発行所 (株)河出書房新社
ISBN978-4-309-01941-3
C0093 \1300E