柴田 元幸 著
本書は、翻訳家であり、東大文学部教授でもある著者の東大での講義内容を書き下ろしたものだそうだ。
9編の英文小説の一部を学生に翻訳させ、他の学生と一緒にどう翻訳するのが良いかを議論する。
また、特別講義として、村上春樹に来てもらい、対談・質疑する。
翻訳は、単に、意味が伝わるだけではなく、文体や文の雰囲気が伝わるように工夫している。
単語の繰り返しや句読点などもなるべく再現した方がよいが、英語と日本語で言葉の強さなどが異なるので、置き換えではすまない。
原文をネーティブとする人ではなく、翻訳先の言語をネーティブにする人が翻訳する必要があるそうだ。
村上春樹は、小説を書く事と翻訳する事では全く意味合いが異なるそうだ。
小説は、題材を決めて計画的に書いて行くが、翻訳はおもしろいものがあったら、趣味的に取り組んでいる。
翻訳を小説作成のリフレッシュとしているようだ。
2013年4月30日 第1刷発行
発行所 朝日新聞出版
ISBN978-4-02-264664-4
C0198 \1000E