吉田 修一 著
久しぶりに長編小説を読んだ。
長崎から赤ん坊を抱えた若い母親が、ホストをやっていると言う父親を探して、歌舞伎町にやって来る所から話が始まる。
ホストをやっている父親と一緒に、ホストクラブで働いている若者が、偶然目撃したひき逃げ事件で、ひき逃げ犯と自首した人が違う事に気が付く。
ひき逃げ犯が、著名なチェロ奏者であることに気付き、お金をゆする事を思いつく。
物語の初めの展開から、犯罪小説のように展開していくのかと読み進んだが、若者たちが、別の誰かに拉致され、問いつめられたり、自首した男の家に押し入り家捜しされたり、交通事故以外にも何か別の大きな事件が起きているようだ。
大物政治家が絡んだ事件のようだ。
若者にお金を払っても、ゆすりが終わる保証はない、若者も仲間に取り入れることができないかと考えていたチェロ奏者のマネージャーが、この別の事件を材料に若者たちを取込もうとする。
ストーリーは、いろいろな登場人物を巻き込んで、展開してゆく。
大物政治家へ対抗する形で、若者が選挙に出る事になり、意外な方向に進んでゆく。
後半は、皆で一つの事を目指すプロジェクトストーリーのようになる。
最初想像しなかった展開であるが、爽快な形な結末にたどり着いたと思う。
2011年9月30日 第一刷発行
発行所 朝日新聞出版
ISBN978-4-02-250892-8
C0093 \1800E