井上 ひさし 著
本作品は、雑誌掲載後、筆者が逝去したため、残念ながら加筆・訂正が行われず出版になったそうだ。
500ページを越える長編である。
シベリアの捕虜収容所にいた主人公小松修吉が、突然、ハバロフスクへ連れてこられる。
ハバロフスクに連れてこられたのは、日本新聞社で、働くためだ。
小松は、日本で、社会主義の地下活動など行ったあと、組織上層部の裏切りにより、逮捕され、転向したが、裏切ったMと言う人物を追って満州へ渡る。
満州で、義勇団に加入させられ、終戦となり捕虜となっていた。
日本新聞は、極東赤軍が、日本人捕虜向けに発行している新聞である。
小松は、日本人捕虜収容所が、関東軍の組織を使って管理されており、旧関東軍の幹部が一般捕虜を搾取していることを告発したりしていたが、日本新聞社が、文芸部を作るために、連れてこられたようだ。
小松は、収容所から脱走し、捕まった入江医師の話を聞き、記事を書くように言われる。
入江医師の話を聞いた際に、入江医師より、レーニンの秘密を記した手紙を入手する。
この手紙を材料に、極東政治部と交渉し、日本に帰る事を計る。
交渉が実り、帰国できるかに思えたが。
2010年6月30日 発行
2010年8月20日 三刷
発行所 (株)新潮社
ISBN978-4-10-302330-2
C0093 \1900E