北林 一光 著
長野北アルプスの麓で、茸を採りに山に入った女性が行方不明になる。
山にも慣れた女性であり、道に迷う事は考えられない。捜索隊がいくら探しても見つける事できなかった。
一冬越して、行方不明となった所から、かなり離れた山の斜面から頭蓋骨が見つかる。
雪崩で、身体の一部のみが、斜面の下に運ばれたのではないかとされるが、その女性の夫は、妻がそのような所に行くはずは無いと思う。
渓流釣りに来た若者グループの女性の１人が、一瞬の間に、姿が見えなくなる。この女性も捜索を行うが、行方がわからない。
次に、帰省中の母子が、姿を消す。捜索の中で、子どもだけが、恐怖からか放心状態で、見つかる。
山中で、いったい何が起きているのか？ 山際の養蜂家の家にツキノワグマが現れ、蜂の巣が荒らされる。
このツキノワグマが、女性たちの失踪と関係あるのだろうか？蜂の巣を荒らしたツキノワグマは、手負いであり、そのために気が荒くなっているようだ。
しかし、クマの研究者からは、普通、ツキノワグマは、人を恐れ、襲うような事は無いと疑問が投げかけられる。
山中で、転倒事故を起こした車に乗っていた主婦が、偶然、転倒事故が起きた時の様子をビデオに収めていた。
ビデオには、大きな茶色の生き物が、車と衝突し、逃げてゆく姿が映っていた。それは、ツキノワグマと比較にならない大きさの生き物だった。
そのような大きい生き物が、この辺りにいる事はない。この生き物が何者か、どこから来たかを突き止めようとする中、惨劇が続く。
得体の知れない生き物にパニックになりながらも、次第に、真相が見えて来る。そして、この問題を引き起こしたのが、人の一種の異常な行動から始まっている事がわかる。
平成19年11月30日 初版発行
発行所 (株)角川書店
ISBN978-4-04-873819-4
C0093 \1600E