善養寺 ススム 文・絵
本書は十返舎一九の『東海道中膝栗毛』をもとに、二代目・岳亭春信が書いた『東海道中栗毛弥次馬』（文久元年1861年）の現代版である。
膝栗毛は、当時流行の旅の案内に狂言を加えた読み物だった。
時代が下って書かれた栗毛弥次馬は観光案内的な要素は無くなって、登場人物のキャラクターや絵をコミカルに描いたものだそうだ。
本書では、栗毛弥次馬の文章の表現や絵を現代風に書き直されている。
弥次さん喜多さんの物語は、仲の良い親友二人の和気あいあいとした旅を記したものと思っていたが、実は、ちょっと違っていた。
弥次郎兵衛は、駿河の大商人の子どもで色酒にはまり放蕩する。そして、旅役者一座の若衆の鼻之助に入れあげ、借金を作った上、二人で欠落て江戸に逃げる。
江戸では、鼻之助に喜多八と名乗らせ、奉公に出し、自分は、長屋で嫁を世話してもらい気楽に過ごし始める。
もともといい加減な弥次・喜多、10年後に、喜多八が奉公しているお店の主人が倒れた際に、悪巧みをして、身代を継ごうとする。
しかし、悪事がばれて、結局は、江戸にいられなくなって、旅に出るというのが、東海道中膝栗毛だ。
こんなとんでもない二人が、道中いろいろ問題を起こしながら珍道中を行う物語だが、当時の旅の様子がわかるし、絵もコミカルで楽しい。
2013年11月21日 初版発行
発行所 (株)洋泉社
ISBN978-4-8003-0198-7
C0021 \1500E