西澤 保彦 著
7編の短編からなるミステリ小説である。
主人公は、ナンパを趣味にするがほとんど成功しない学生時代からの悪友３人組である。
３人が事件を解決、推理するだけであれば、普通のミステリ小説であるが、本書では、書名にもなっている怪獣のほか、宇宙人や、怪物、幽霊なども登場する。
しかも、それらの怪獣などが、SF小説のように何らかの理由がある訳ではなく、物語中にも書いてある通り、何の脈絡もなく突然出現する。
３人がナンパをしようとするとなぜか巨大怪獣などがでてきて、予想外のできごとがもたらされる。
また、日頃、女性と縁のない彼らに美女が近づくとそれが怪物だったり、宇宙人だったり、幽霊だったりする。
かれらは、普通でないものを引きつける何かを持っているようだ。
怪獣が出てきて事件を起こしたら、ミステリ小説のルール違反のようなものだが、ミステリとして成り立っている。
ミステリは与えられた状況（条件）から、事件の真相を解明するものだ。
本書では、条件が、通常のミステリと少し変わっているが、与えられた条件から正当な論理で、事件の真相が解き明かされる。
少し変わっているが、本格的推理小説と思う。
新潮文庫
平成19年2月1日 発行
発行所 (株)新潮社
ISBN978-4-10-130851-7
C0193 \476E