R・D・ウィングフィールド 著
芹澤 恵 訳
昨年のクリスマスシーズンに読んだ本である。クリスマスの聖なる雰囲気と結びつかない泥臭い警察小説である。
初版から既に20年たっているが、人気の衰えない作品のようだ。
主人公のフロストは、下品で、コートもよれよれ、オフィスも片付かない書類の山と処理能力のない田舎警察の警部と言う雰囲気だが、何が起きてもめげることの無い名物警部だ。
本書では、ロンドンから刑事に昇進したばかりの上昇志向のクライブが相棒となり、色々問題を起こしながら、いくつかの事件を追いかける。
もうじきクリスマスが迫るなか、日曜学校から帰る途中の8歳の少女が行方不明になる。
雪で凍える山や池を捜索したり、怪しい人物を調べたりするが、少女は見つからない。
霊媒師の予言に従って、森の中を掘ると、空のトランクを縛り付けた腕と少し離れたところで死体が見つかる。
しかし、その死体は、相当古いもので、少女の失踪との関係はわからない。
フロストは、少女を救出することはできるのだろうか?トランクの死体と関係はあるのだろうか?
フロストの行くところに事件が起きるかのようだ。500ページを越える小説であるが、複数の事件がからみ最後まで真相がわからず読まさせられた。
1994年9月30日 初版
2013年6月14日 44版
発行所 (株)東京創元社
ISBN4-488-29101-5
C0197 \940E