影絵 / 藤城 清治
原作 / H. C. アンデルセン
訳 / 町田 仁
アンデルセンの童話に影絵作家の藤城清治が美しい影絵をつけた絵本だ。
鳥かごの水飲みに使われている割れたぶどう酒びんの口がたどった物語をつづる。
ぶどう酒びんはガラス工場で作られ最初は最高級のぶどう酒をつめられて売られる。
毛皮商人のお嬢さんと航海士の婚約の祝いでぶどう酒があけられる。
航海から戻ったら結婚する約束をして、航海士は旅に出る。
あきびんは湖に投げられ、びんの長い旅が始まる。
薬用ブランデーが入れられたり、手紙を運んだり、種を運んだりする。
ぶどう酒を入れて気球に乗せられて、祝杯をあげられたのち、放り上げられた。
びんは屋根にあたって、口を残して、壊れてしまう。
壊れたぶどう酒びんの口は、おばあさんのところに持って来られて、鳥かごの水飲みにされた。
おばあさんは、そのぶどう酒のびんの口が婚約の時に飲んだぶどう酒のびんだとは気がつかなかった。
びんに物語があったと同じようにおばあさんにも長い人生があった。
また、藤城清治が1950年に初めて作ったモノクロ影絵絵本がこの物語だった。
それから60年して、カラー影絵にして作り直したのが、この絵本だ。
藤城清治の人生も重なった絵本だと思った。
2010年4月17日 第1刷
2013年10月1日 第7刷
発行所 (株)講談社
ISBN978-4-06-132424-4
C8771 \2857E