ハリエット・アン・ジェイコブズ 著
堀越 ゆき 訳
筆者自身のことを記したノンフィクションだそうだ。
本書は、1861年に出版されたが、フィクションと受け取られ、やがて忘れ去られていた。
しかし、1987年に、歴史学者が、奴隷解放運動家が残した資料に本書の筆者の手紙が紛れ込んでいることを発見し、本書が実在の人物が実際にあったことを記したものであったことが確認された。
120年以上を経て、本書は、多くの読書に読まれるようになった。
訳者は、本書に触れて、奴隷として生まれても、勇気ある人生を歩んだ少女の生き方に感銘を受け、日本の少女達にぜひ読んで欲しいと翻訳をしたそうだ。
筆者は、好色な医師の家の奴隷となり、虐待を受ける。
所有者の一家から逃れるため、別の白人の愛人となるが、解放はしてもらえず、屋根裏に7年以上隠れ、やがて北部に逃れる。
長く所有者から隠れ逃げる生活の後に、北部で信頼のおける家族が300ドルで奴隷売買契約を行ってくれて奴隷から解放してくれる。
自由の国アメリカで、自由の無い人間がいること。自由を得るため奴隷売買契約がされること。と言うひどい矛盾が存在する。
奴隷制度の下では、医師の一家が特殊な一家だった訳でないということに驚かされる。
本書は、150年以上前の話であるが、奴隷制度が、アメリカで未だに起きる人種差別問題の根源になっているような気がする。
2013年4月10日 第1刷発行
2014年6月15日 第8刷
発行所 大和書房
ISBN978-4-479-57016-5
C0021 \1700E