杉江 松恋 編
ハヤカワミステリマガジンは、前身の日本版エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン（1956年創刊）の時代を含めて、60年近い歴史のあるミステリ専門誌である。
本書は、その700号を記念したアンソロジーである。
16の作品を収録し、その作者を簡単に紹介している。
初出が70年以上前の作品も収録されているが、今読んでも、一ひねりも二ひねりもされた作品が多く、さすが700号の中から厳選されたものだけあり、面白かった。
携帯やインターネットと言うような今のテクノロジーではなく、普遍的なトリックやミステリーになっており、事件や物語の真相をはやく知りたくなる。
品の良さそうな老婦人がアリバイを楽しみながらさがす「アリバイさがし」、
かつて横領したお金をエゾマツの根元に埋めた元銀行員がいざという時にそのお金が使えることを糧に努力する「マニング氏の金のなる木」、
警部が、クラス会の案内をきっかけに、25年前の事故死が実は殺人だったのではないかと調査を行う「二十五年目のクラス会」、
わずかのお金を持って、サンフランシスコで、出直そうとする夫が、バス旅に疲れた妻を休ませるため、泊まったホテルで、少しお金を稼ごうとして、カジノで熱くなってしまう「リノで途中下車」など
が特に面白かった。
2014年4月25日 発行
発行所 (株)早川書房
ISBN978-4-15-180301-7
C0197 \1060E