リュドミラ・ウリツカヤ 著
前田 和泉 訳
上巻に続いて読んだ。
上巻と同じように短めの書簡等から構成されている。
ナチズムから逃れ、カトリック神父となって、イスラエルに移住するが、新たな闘いが必要になる。
ユダヤ人がカトリック信者になることは、ユダヤ人からは受け入れ難いことなのだろう。
また、ユダヤ人のいないキリスト教はキリスト教の本質を歪めているとするダニエルの考え方は、カトリック側からも問題とされる。
バチカンに呼ばれ教皇ヨハネ・パウロ2世と会うが、ダニエルと教皇は共にポーランド出身で、古い知り合いだった。
そして、教皇にカトリックの非を認めさせることになる。
また、ロシア正教会からも異端とされる。
ユダヤ教・キリスト教など宗教間の対立は根深いものがあると感じた。
グローバルな時代になって、人種や宗教・宗派を越えた開かれた信仰が望まれるが、現実的は難しいのだろうか？
2009年9月30日 発行
発行所 (株)新潮社
ISBN978-4-10-590078-6
C0397 \2200E