グラント・ジャーキンス 著
二宮 磬 訳
解説にもあるが、「肩入れしたくなる登場人物がいない」サスペンス小説と言う評価は当たっている。
頭に傷を負って亡くなっている母親が見つかる。
側には、週末に施設から一時的に戻って来た暴力癖のある知的障害のある息子がいた。
一見、息子が母親を殺したかのように見える事件であるが、検察官レオが、事件の中に不自然な点を発見する。
息子は、右利きなのに、犯人は左利きのようだ。また、息子には、返り血があまりついていない。
検察官は、息子の父親アダムを怪しみ、いくつかの証拠を発見する。
証拠を発見し、アダムを犯人として、裁判で、訴追するべきレオだが、かつて、殺人犯を無罪として釈放し、また殺人が起きてしまうと言う大失態を行ったため、裁判に関わらせてもらえない。
アダムは有罪となりそうなところまで追いつめられるが、レオの弱みを突き、レオに面会を求め、話をする。
アダムはレオに別の証拠を提示する。
アダム夫婦、そして、アダムを弁護する兄の秘められた過去、さらに、過去の失態を引きずるレオとその上司たちの人間関係等が複雑に絡み事件の真相が最後までわからない。
タイトルと裏腹に、かなりひねくれたストーリであった。
新潮文庫 シ-40-1
平成23年4月1日 発行
発行所 (株)新潮社
ISBN978-4-10-217851-5
C0197 \629E