清水 義範 著
”やっとかめ”と言うのは、名古屋弁で久しぶりという意味だそうだ。しかも年配のお婆さん、お爺さんの使う言葉らしい。
本書は、駄菓子屋「ことぶき屋」のお婆ちゃんまつ尾を中心としたユニークなお婆ちゃん探偵団のお話である。
近所で、寝たきりのお爺さんが何者かにさされて殺されると言う事件が発生する。死体の胸には珊瑚のブローチが置かれていた。
お爺さんを介護していた嫁も出かけたまま行方不明になってしまう。嫁に殺人の疑いが掛けられる。
しかし、嫁とも知り合いのまつ尾は、犯人が別にいると考える。
お婆ちゃんたちのそれぞれの持ち味を活かして、事件の真実に迫る。
本書は、お婆ちゃんを中心に推理する所がユニークであるが、それ以上に、会話がほぼ全部、名古屋弁で語られる点が、ユニークだ。
名古屋弁になれていない読者にとっては、内容を理解するのに、少し、時間がかかるが、人間味も感じる。
ストーリーが進むに従って、怪しと思われる人が何人か出て来るが、結果は、予想を裏切られるものだった。
お婆ちゃん小説ではあるが、ミステリーとしても面白いものだった。
1988年5月20日 初版1刷発行
2010年6月25日 8刷発行
発行所 (株)光文社
ISBN978-4-334-70733-0
C0193 \571E