前田 司郎 著
新婚地獄編と言うタイトルから怖いストーリーかと思ったが、かなりまったりしたどちらか言うと緩い物語だった。
同棲していた信義と咲は結婚するにあたり、それぞれ持っていたジャーの一つを捨てる。
しかし残ったジャーも消える。
五反田のデパートで、咲は、それと思われるジャーをもった濡れた男を目撃する。
男を追いかけた咲は、屋上の占いコーナーで、地獄旅行に誘われる。
信義と咲は、デパートの屋上から地獄旅行に出発する。
地獄の旅館への道中では、ネコの畑があったり、赤い顔の人々に遭遇したりするが、青い顔の少女に車に乗せてもらって無事に旅館にたどり着く。
旅館で、甘エビに似た地獄の食事やビーフシチューのような風呂にはいる。
少女の弟たちと市場に買い物に行くなどして、地獄を楽しむ。
信義と咲は、少女たちと別れ難くなるが、帰る時間が迫る。
帰る前に旅館のちかくの沼を散策し、なくなったジャーが夫婦の様に二つ並べられているのを見つける。
地獄とこの世はつながっていて、時と気持ちが満ちるとこの世に来るようだ。
少し変わっている話だったが、読後は穏やかな気持ちになった。
2008年12月25日 第1刷発行
発行所 (株)幻冬舎
ISBN978-4-344-01602-6
C0093 \1600E