ハン・ガン（韓江） 著
きむ・ふな 訳
本書は、３編の中編小説からなる。
韓国で、2002年から05年に掛けて発表されたものだそうだ。
韓国の小説はこれまで、あまり読んだことがなかったが、韓国で文学賞を受けた人気のある作品とのことである。
３編は独立したストーリーになっているが、ヨンへと言う野菜しか食べられなくなった女性とその周りの人物が描かれる。
１編目は、書名と同じタイトルの「菜食主義者」と言う作品である。
妻のヨンへが突然、肉類が食べられなくなり、冷蔵庫の肉類などを全て捨て始める。
菜食主義になった原因は、夢で現れる肉の匂いや感触に耐えられなくなったようだ。
やがて、一切の肉を断ち、体もやつれる、両親や姉などが心配し、肉を無理に食べさせようとするが、手首を切るなど、精神にも異常を来しているようだ。
夫も耐えきれなくなる。
第２編は、ヨハンの姉の夫が登場する。
夫は、芸術家であるが、ヨハンのお尻に蒙古斑があると妻から聞き、興味を持つ。
蒙古斑を生かしたボディペイントをしようとする。
第３編は、ヨハンの姉との関係がメインになる。
妹のヨハンを利用しようした夫との関係がおかしくなるとともに、ヨハンも病院に入らざるをえなくなる。
ヨハンを守るのは姉の自分だと思うが、ヨハンから受け入れられることはない。
全編を通して、ヨハンの本当の思いが分からず、ストーリーに入り込めなかった。
2011年5月25日 初版1刷発行
発行所 (株)クオン
ISBN978-4-904855-02-7
C0097 \2200E