キルメン・ウリベ 著
金子 奈美 訳
作者は、スペイン・バスク州出身の人だそうである。
バスク地方は、スペインとフランスにまたがる地方で、バスク語が話される。
本作品もバスク語で書かれたものの翻訳だ。
歴史的事実を元にした作品のようである。
スペイン内戦の際に、2万人のバスクの子供がヨーロッパ各地に疎開した。
主人公ムシェは、ベルギーの文学青年であるが、彼の家へも、8歳の少女カルメンチュが引き取られてくる。
カルメンチュは、一家に大事に育てられるが、第二次世界大戦の勃発とともに、バスクへ戻らざるを得なくなる。
しかし、音信は取れなくなり、ムシェ一家は大いに心配する。
ムシェは、結婚し、娘に、カルメンという名前をつけて、幸せに過ごすが、反ナチのレジスタンス運動に加わり、収容所に送られる。
やがて、ドイツ軍は追い詰められ、囚人たちをリューベック港に送り、船に収容する。
囚人たちに過酷な運命が待っていた。
イギリス軍が、船に、囚人が乗っていると知るのが遅く、攻撃を仕掛けてしまったのだ。
ムシェも巻き込まれて、命を失ったようだ。
カルメンは母が残した資料から父のこと、自分の生い立ち・人生をたどる。
2015年10月25日 発行
発行所 (株)白水社
ISBN978-4-560-09042-8
C0097 \2300E