ヴァージニア・ウルフ 著
杉山 洋子 訳
オーランドーと言う人物の伝記の形をとった物語である。
オーランドーは、かなり変わった（ありえない）人生を歩む。
16世紀中頃、イギリスの名家の美少年として生まれ、女王エリザベス１世の寵臣となるが、ロシアの女性とスキャンダルを起こし、失恋する。
失意から７日間寝込む。そして、目覚めたのち、詩人を夢見るが、夢を果たせず、大使として、トルコにわたり活躍する。
トルコで、暴動が起こり、また７日間の昏睡に陥る。なぜか目覚めた時には、女性に変身している。
18世紀のロンドンに戻り、社交界に出入りするようになり、文士のパトロンになる。
やがて、19世紀ヴィクトリア朝時代に、流行の結婚病にかかり、船乗りと結婚する。また、書き続けていた詩集「樫の木」が出版され文学賞を受ける。
20世紀になると、36歳の主人公は男子を出産し、車を運転し、ロンドンに買い物に行く。また、飛行機で帰ってくる夫を迎えに行く。
4世紀に渡る人生を男から女に変わり生きていく。
舞台となっているイギリスのノール館の所有者となったサックヴィル家の一族をモデルにした物語のようである。
全編を通して、あまりストーリー性のない言葉を重ねた長文を頻用した読みにくい作品であったが、イギリスの文化や風俗の変化、異性に限定されない愛情などを描こうとしたのではないかと思った。
1983年11月5日 初版第1刷発行
1994年5月20日 新装版第5刷発行
発行所 (株)国書刊行会
ISBN4-336-03395-1
C0097 P2500E