シェイクスピア 著
河合 祥一郎 訳
シェイクスピアの歴史劇である。
15世紀後半イギリスで起きたヨーク家、ランカスター家間の王位継承戦争（薔薇戦争）の最後に登場したリチャード3世を主人公にした劇である。
ランカスター家ヘンリー6世から、王位を奪った兄であるエドワード4世が病気で亡くなったことを機会に、不自由な体と醜い容姿をもつリチャードが王となって人々を見返そうとする。
王となるために、リチャードは、次兄、その息子、家臣等次から次と殺して行く。
やがて、王となるが、フランスに逃げていたランカスター家のリッチモンド伯（のちのヘンリー7世）が戦を始める。
リチャードは、戦場で、これまでに殺した大勢の人々の亡霊が現れ、よく休むこともできなくなる。
結局、リチャードは、戦に敗れ、ランカスター家、ヨーク家を統合したチューダー王朝が始まる。
リチャードの暴虐ぶりが見どころの芝居である。
歴史上のリチャードは、劇中のリチャードのような極悪人ではなかったそうだ。
チューダー朝になって、歴史家等が前王朝のリチャードを悪者にしたことと、シェークスピアが芝居として仕立てたことによりイメージが定着したようだ。
400年前の戯曲が、現在も、繰り返し上演されるシェークスピアの作品はすばらしいと思う。
角川文庫14741
平成19年6月25日 初版発行
発行所 (株)角川書店
ISBN978-4-04-210617-3
C0197 \476E