江戸川乱歩 著
表題作は、それぞれ、1936年、1949年初出の作品である。
80年から70年の前の作品であり、現在の探偵には、恐らく必需品の通信機器や電子機器もない時代の作品であるが、今読んでも奇想天外のストーリー展開であり、楽しめる。
２作品とも、探偵明智小五郎・小林少年と怪人二十面相の知恵比べの犯罪小説である。
怪人二十面相は、名前の通り、色々な人に変装し、貴重な美術品を予告して奪う。
最初の作品では、怪人二十面相本人だけでなく、美術品を守る側の警備員なども怪人二十面相の仲間と入れ替わって、博物館の美術品を丸ごと奪う。
対する小林少年・明智探偵も負けてはいない、仏像に化けたり、明智探偵を狙う人物に扮したりし、二十面相の裏をかく。
2作目では、青銅の魔人が現れ、高価な時計や珍しい時計を奪う。
ゼンマイ仕掛けかと思われる青銅で覆われた魔人が突然現れ、突然消える。
本作は、戦後の作品だけあって、浮浪児からなるチンピラ別動隊が小林少年・明智探偵を助ける。
怪人二十面相は、最後は、トリックなどを明智探偵に見破られ、奪った美術品を取り返されるが、なかなか捕まえられることはない。
しかし、人を殺したり、傷つけたりすることはなく、憎まれないところもある。
2017年9月15日 第1刷発行
発行所 (株)岩波書店
ISBN978-4-00-311812-2
C0193 P910E