町田 純 著・画
鉛筆書き風の挿絵と短篇の物語からなる優しい本である。
ネコのヤンは、よく行く小さなバザールで、新参者のネコが樺の木の皮で編んだ籠を売っているのを見つけた。
しばらく見ていても籠はあまり売れない。
ヤンは一つ籠を買い、時々、様子を見に行くようなる。
籠売りのネコは、売れなくてもいつもニコニコしている。
やがて、ネコの店には、灰色ネズミ、子猫、鳩やカラスなどが集まって来る。
わずかに売れた籠の代金で、みんなで食べ物を食べているようだ。
ヤンは、食料品や手作りのピロシキを差し入れたりする。
冬になり、ヤンがバザールのいつもの場所に行くと店は出されていなかった。
籠売りのネコの家を訪ねると肺炎で亡くなったとのことである。
灰色ネズミが一つの籠をヤンに取っておいてくれた。
季節が巡り、夏になり、バザールに行って見ると露店の焼き物屋が出ていた。
ヤンは籠に買い物を入れて帰った。
2000年5月20日 初版発行
発行所 未知谷
ISBN4-89642-010-1
C0095 P1200E