デヴィッド・マカルー 著
秋山 勝 訳
有人動力飛行に初めて成功したライト兄弟の評伝である。
1903年12月17日ノースカロライナ州でのことだそうだ。
115年で、人が空を飛ぶ技術は大きく進歩したと思うが、その第一歩が記されている。
ライト兄弟ウィルバーとオーヴィルは、牧師の家庭に生まれた５人兄弟の三男と四男で、下に妹がいる。
兄弟が、空を飛びたいと思ったのは、フランス製の竹とんぼのようなヘリコプターの玩具がきっかけだったようである。
また、兄弟が機械いじりが好きになったのは、母親に似たようである。
弟のオーヴィルは、高校生の時に、印刷に興味を持ち、印刷業を始めたいと思う。兄のウィルバーの協力もあり、印刷機を手に入れて、新聞を創刊する。
ちょうどその頃、自転車が熱狂的なブームになり、兄弟も入れ込んで行き、ライト自転車商会を開業する。
最初は、自転車の販売と修理をやる店であったが、やがて、オリジナルモデルを作って販売するようになり、店は繁盛する。
オーヴィルが25歳の時、腸チフスで重篤になる。なんとか体を起こせるようになった頃、兄弟は、ドイツの飛行家リリエンタールの本や動物の飛翔に関する本などを読み始めるようになる。
そして、自分たちも、空を飛んでみたいと考えるようになる。鳥の羽や風による効果など研究する。
風が重要であることから、常にある程度の風が服、広い場所を探し、ノースキャロライナのキティホークで空を飛ぶ実験を始める。
最初は、グライダーを、そして、有人動力飛行が可能な飛行機械を作り上げる。
飛行機の機体は当然であるがエンジンも自分たちで作り上げる。
飛行が成功した後、兄弟は飛行機械を販売しようとするが、アメリカの政府などは成功を認めず、交渉は進まない。
一方、飛行機械に関心あるフランス政府などが、先に、兄弟に接触してきて、飛行実験を行うことになる。
飛行実験と共に様々な飛行記録が打ち立てられてゆく。
飛行を大勢の人に公開しても、兄弟は、飛行機械の詳細は明かさず、特許化などを行い、飛行機械のビジネスを立ち上げて行く。
2017年5月24日 第1刷発行
発行所 （株）草思社
ISBN978-4-7942-2278-7
C0023 P2200E