長岡 弘樹 著
表題作を含む４編からなる短編ミステリー集である。
いずれの作品も大事件ではなく、家族や身近な人が登場人物のミステリーであるが、最後まで、真実が分からない。
表題作の「赤い刻印」は、刑事の母親から中学生の娘が、祖母が生きていることを聞かされ、会いに行く。
母が自分にしてくれたことを、祖母も母にしてくれていた。それが過去の事件の手がかりになる。
「秘薬」は記憶が一日しか持たない女子大生と教授の日記を巡るやりとり、日記中に記される薬品にどう言う意味があるのか？
3作目の「サンクスレター」は、手帳を失ったことで、自殺した息子の仇を取ろうと父親が小学校を占領するが、人質とした子供と息子に意外なつながりに気づく。
最後の「手に手に」は、母と弟の介護に疲れた姉が、主人公だ。弟は、掛かり付けの医師のメッセージを録音したテープをいつも聞いている。そこには、事故の例など述べて、注意を促していた。
2016年5月22日 第1刷発行
発行所 株式会社双葉社
ISBN978-4-575-23963-8
C0093 \1200E