アンソニー・ホロヴィッツ 著
山田 蘭 訳
長編ミステリ小説の下巻である。
上巻では、編集者である「私」が、担当する名探偵アスティカス・ピュントシリーズの第9作「カカサギ殺人事件」を読む。
上巻の最後で、名探偵ピュントが事件を解明し、下巻で、説明が行われると思って、下巻を読み始めたのであるが、上巻で読んだとろで、原稿は終わっている。
作品は、完結しているということなので、「カカサギ殺人事件」の結末の原稿がどこかにあるはずである。
しかし、不幸なことに、作者のアラン・コンウェイは、思い病気にかかっており、それを苦に自殺したと言う連絡がある。
遺書も残されている。
編者である「私」スーザンが、原稿がどこかにあるはずと、コンウェイの周辺の関係者に話を聞いて回る。
スーザンもそうであるが、コンウェイは、皆んなからあまり好かれていない人物だったようだ。
しかも、自殺したとされる日の後も色々な予定を入れており、自殺しそうな様子を示していない。
スーザンは、コンウェイが誰かに殺されたのではないかと疑い、真相を調べ、なくなった物語の最後の部分の原稿を手に入れようとする。
現実の人物や場所などをもとに小説が描かれていたり、いろいろな言葉遊びが小説の中で行われている事がわかる。
作中にミステリ小説が入っていて、絡み合った２つのミステリ小説を一度に読んだ感じがした。
構想から完成まで15年掛かったと言う事だが、非常に凝った作品だった。
2018年9月28日 初版発行
発行所 (株)集英社
ISBN978-4-448-26508-3
C0197 \1000E