アラン・ベネット 著
市川 恵理 訳
英国女王エリザベス二世が主人公であるが、フィクションの物語である。
宮殿に来ていた移動図書館の車と出会った女王が、成り行きで、本を借りる。
もともと読書には興味がなかった女王であるが、移動図書館の運転手兼司書に薦められた色々な本を読み進むうちに本好きになり、公務中もこっそり読書をする様になる。
公務は上の空になり、側近達も困る。
何とか読書から遠ざけようとするが、うまく行かない。
そして、側近達が、長年王室に仕えて来て、女王より年配の人から女王にアドバイスしてもらおうとする。
その人は、読書も良いが、物を書くのも良いと女王に話をする。
おかげで、読書量は、減ったが、思いを記すことが、読書にも勝る満足感があることに女王が気付く。
女王が、読書を通して、知的に目覚めて成長する物語だ。
イギリスでは、上流階級の人が知的でないというイメージがあるそうだ。
本作は、そのイギリスでの上流社会をネタにしたコミカルな作品になっている。
2009年3月20日 第一刷発行
2009年7月10日 第6刷発行
発行所 株式会社 白水社
ISBN 978-4-560-09225-5
C0097 \1900