シャーリー・グレン 作
渋谷 弘子 訳
今では、各地の図書館で行われている移動図書館を始めた女性について、記した子供向けの写真絵本である。
その女性は、メアリー・レミスト・ティットコムという人であり、1852年5月16日に、ニューハンプシャー州で生まれた。
当時は、貧しい農家のむすめが、上級の学校に行く事は普通はなかったが、両親の理解もあり、女学院を卒業することができた。
女学院を出たメアリーは、仕事をしたいと思ったが、女性に開かれた職業はほとんどなかった。
しかし、丁度、司書という新しい職業ができたことを知ったメアリーは、マサチューセッツ州のコンコード公共図書館で、無給見習いとして働き始める。
司書の仕事を全て学んだメアリーは、バーモンド州ラトランド公共図書館で蔵書目録作成係として、働き始め、主任司書になる。
司書として、懸命に働いたメアリーは、バーモント州図書館委員会の初代事務局長に、そして、1914年にアメリカ図書館協会の２代目副会長になる。
その間に、メアリーは、求められて新たに建設されたメリーランド州ワシントン郡公共図書館の主任司書となる。
この図書館で、公共図書館として、郡内の全ての人が無料で利用できる図書館を築いてゆく。
広い郡内の全ての住人が利用できるにはどうすれば良いか考え、郡内の色々なところに、本置場を設ける。
そして、さらに、1905年に、山地のふもとのような奥地の住民にも本を届けるために、馬に引かせる「本の荷車」を始めた。
1910年に本の荷車が、列車に衝突され壊れてしまったが、諦めず、1912年に自動荷車を始めることができた。
本と図書館を愛し、全ての人が本を読めるようにしようとした一人の女性が移動図書館を始めたということを知った。
2019年12月20日 初版発行
発行所 評論社
ISBN978-4-566-08055-3
C8798 \2400E