ブレイディみかこ 著
著者は、ロンドンから電車で１時間程度の距離にあるブライトンという街に住む。
本書では、名門のカトリック系の小学校から家の近くにある元底辺校と著者の言う公立中学校に息子が入学することによって見えてきたイギリス社会のリアルな姿を描く。
福祉から経済活性化を優先する政策により、市民の経済格差が拡大している。
公営住宅も売却されて、裕福な人は、おしゃれな住宅に改装している。一方、昔のままの公営住宅に住み続けざるを得ない人もいる。
また、移民により、人種間の差別や差別意識も深刻になっている。
学校間の格差も大きく、市の中学水泳大会では、私立中学の生徒は、スイミングスクールなどにも通えるため、どの学年、種目でも上位入賞する。
底辺校の中学では、食事や制服もままならない生徒もいて、教師が自腹で、支援している。
そんな中学校に入学した息子が、アイルランド人の父、日本人の母と言う生い立ちの中で、差別、格差を友達とユーモアとエンパシーで、乗り越えて行く。
日本でも最近格差が大きくなっているようだ、このような社会がやってくるのだろうか。
2019年6月21日 初版発行
発行所 新潮社
ISBN978-4-10-352681-0
C0095 \1485E