九螺 ささら 著
短歌を読み、それに続けて解説とも言えるエッセイと締めの短歌をもう一首記す形でまとめられている。
収録されている短歌は全部で、84となっている。
どの短歌もユニークなもので、読むと、少しニヤリとしたり、なるほどと思えたりする。
おもしろいと思った歌をいくつか。
「おかえりなさい、おさないえりか。おくりものはもりのおくです。」
前半と後半がそれぞれアナグラムになっている。同じ音を含むものは同じ意味を持つそうだ。
「地図上の果樹園の記号その中に世界の電源ひとつ混じりぬ」
果樹園の記号と電源の記号は、見た目にはよく似ている。実際に電源記号を探し出すことができたら、世界またはわたしの電源がOFFになるかも。
「何度寝て何を入れてもわたしとはたわしにならない固有のわたし」
質量保存の法則、保存期間が生存期間だ。
別の新聞インタビューで、一冊の本すべて、ガラケーで、親指で打ちましたと語っているのを読んだ。作者自身も少しユニークな人のようだ。
2018年6月11日 初版第1刷発行
発行所 株式会社朝日出版社
ISBN978-4-255-01051-9
C0095 \1700E