マーガレット・アトウッド 著
鴻巣 友季子 訳
「語りなおしシェイクスピア」は英語圏の作家たちが、それぞれ選んだ作品を自在に再解釈して、翻案したシリーズだそうである。
本作は、シリーズ第1作となるもので、テンペストを翻案したものである。
感染症により、妻を亡くし、さらに、わずか3歳の最愛の娘も髄膜炎で、亡くすという不幸に見舞われた舞台芸術監督のフェリックスは、＜マカシュウェグ・フェスティバル＞でのテンペストの成功に心血を注いでいた。
しかし、部下のトニーの裏切りにより、突然解任され追い出されてしまう。
復讐を誓ったフェリックスは、刑務所の更生プログラムの講師として、服役中のメンバーにリテラシー教育の一環として、演劇を教える職を得る。
演劇指導を行う中、12年後、民族遺産大臣となったトニー等が、刑務所に更生プログラムの成果を視察に来る事が決まる。
フェリックスは、視察の際に、テンペストを上演することを決め、その中で、トニー等に復讐を果たそうとする。
本作では、刑務所での上演演目がテンペストであり、フェリックス等の人生が、テンペストの登場人物の役柄とかぶっていて、テンペストのストーリーが複雑に入り込んでいる
復讐は、成功して、フェリックスの心は解放されるのだろうか？
シェイクスピアのテンペストに馴染んでいれば、もっと楽しめたと思う。劇中と作品中の登場人物が、多いこともあり、少し消化しきれないところがあり、残念だった。
2020年9月10日 第一刷発行
発行所 株式会社集英社
ISBN978-4-08-773507-9
C0097 \2700E