深緑 野分 著
ブック・カース(book curse)をテーマにした物語である。
ブックカースとは、WikiPediaによると、「中世に書物の盗難を避けるために使用された、本に記載される呪いの言葉」とのことである。
主人公は、御倉深冬(みくらみふゆ)である。深冬の曽祖父の御倉嘉市は書物の収集家で、膨大な書物を収納した、御倉館という収蔵館を残した。
嘉市の死後、御倉館は町の人に開放されていたが、ある時、200冊の稀覯本が盗まれることがあり、祖母のたまきは激昂し、御倉館を閉ざすとともに、誰かが本を盗むと警報装置が発動するようにした。
この警報装置の一つとして、ブック・カースが組み込まれたようだ。
父親のあゆむが入院したので、御倉館で、書物の管理を行なっているおばのひるねに差入れを持っていった深冬は、警報装置の側で、お札のようなものを見つける。
また、おばの手に”この本を盗むものは、魔術的現実主義の旗に追われる”と書かれた紙を発見する。
そして、どこからともなく現れた真白という少女から、『繁茂村の兄弟』と言う本を読むように言われる。
本を読むのがあまり好きではない深冬は少し読んで、家に帰ろうと御倉館を出ると、町の様子が変わっている。
どうも『繁茂村の兄弟』の物語の世界になっているようだ。御倉館から本が盗まれて、ブック・カースが発動されているようだ。
深冬と真白は、本を盗んだ犯人を見つけて、本を取り戻そうとする。
御倉館と御倉家のブック・カースの秘密とブックカースを解く冒険が始まった。
2020年10月8日初版発行
発行所 株式会社 KADOKAWA
ISBN978-4-04-109269-9
C0093 \1500E