J・オブライエン 著
日暮 雅通 訳
本書はシャーロック・ホームズを熱愛する著者が、科学の専門家としての視点からホームズ、そして、作者のコナン・ドイルについて語ったものである。
医師でもあったドイルが、いかに、ホームズの科学的分析手法を身につけたか、ドイルは、ジョセフ・ベル博士をモデルにあげている。
ベル博士は、患者の職業、住んでいる場所、どのように診療所まで来たかも言い当ててしまったそうである。
また、アラン・ポーとその作品にも影響を受けているようである。
本書では、主な登場人物の人となり、素養、職業などを紹介、さらに、ホームズが、事件解決に用いた科学的手法を紹介している。
現在では、当たり前の手法であるが、当時は、まだ、広く認知されていないものもある。例えば、指紋、足跡の分析、手書き文書、印刷された文書、暗号学などである。
ホームズが最も精通していたのは、化学であるが、その他に、数学、生物学、物理学、天文学、地質学、気象学についても興味を持っていた。
ホームズのシリーズ60編で、人気のあるのは、前半の30編に多いそうである。著者の分析では、前半に書かれたものの方が、科学の要素が多く、読者を魅了したのだろうと記している。
2021年1月19日 第1刷発行
発行所 株式会社 東京化学同人
ISBN978-4-8079-0983-4
C0040 \2800E