藤城 清治 影絵
太田 光 原作・文
太田光の短編小説集『マボロシの鳥』の表題作を原作にして、藤城清治が、影絵をつけて絵本にしたものだそうだ。
魔人チカブーという芸人とタンガタという勇者の物語が並行に語られる。
チカブーの芸は、胸から一羽の鳥を出すというものだ。
この鳥は、図鑑にも乗っていない、美しい鳥「マボロシの鳥」と呼ばれた。
しかし、ある時この鳥は、逃げ出し、チカブーは芸ができなくなった。
神の山の頂上に幻の鳥がいて、捕まえたものは永遠の幸福を得ることができるという伝説があった。
タンガタは、神の山の頂上で、幻の鳥を見つけ、そっと抱きしめる。
タンガタは、国を作り、文明を切り開き、幸福を得た。
しかし、多くのものを持ちすぎたと感じていた。
これを感じるかどうかが、暴君になるかどうかの分かれ目だ。
手に入れたものを手放そうと思い、幻の鳥を空に放った。
「自分はだれかとつながっている。この世界は、別のどこかとつながっている。」というメッセージが語られる。
また、タンガタが語る「持ちすぎ」という感覚も重要だと思った。
美しい影絵が物語を豊かに描いていると思った。
2011年5月17日 第1刷発行
発行所 株式会社 講談社
ISBN978-4-06-216956-1
C8771 \2857E