ディーリア・オーエンズ 著
友廣 純 訳
著者は、動物学者で、本作が、69歳で執筆した初めての小説だそうである。
動物学者だけあって、湿地の自然や生き物が活き活き描かれている。
舞台は、ノース・カロライナ州の湿地である。
主人公は、湿地の中にすむ貧しい白人一家の末娘であるが、父の暴力などから、母や他の兄弟たちは、家を出て行ってしまう。
やがて、父もいなくなってしまい、6歳の少女は未開の湿地の小屋で一人で生きることになる。
偏見や好奇の目にさらされ、学校も1日で、いかなくなった。
しかし、兄の友達の少年テイトが、読み書きや生物学などを教えてくれ、図書館の本などからも自然に関する知識をえる。
テイトに恋心を持つが、テイトも大学進学のため、少女のもとを去ってしまう。
「湿地の少女」と蔑まれながらも、少女は自然の中で、静かに暮らしている。
村の裕福で、プレイボーイのチェイスが成長した少女に近づくが、チェイスが火の見櫓の下で、遺体で見つかる。
「湿地の少女」に疑いの目が向けられ、陪審員裁判に掛けられることになる。
他の人から離れ、一人で、カモメや自然の中で、生きている姿は、少しもの悲しげな感じがした。
2020年3月15日 初版発行
2020年9月15日 9版発行
発行所 株式会社早川書房
ISBN978-4-15-209919-8
C0097 \1900E