シェリー・ピアソル 著
斎藤 倫子 訳
Text by Shelley Pearsall
1859年9月に物語は始まる。
主人公は、11歳の少年奴隷サミュエルと70歳くらいの老人奴隷ハリソンである。
2人は、ケンタッキー州の農場で、働かされていた。
ハリソンが、農場から逃げて、カナダを目指す。サミュエルもなぜか一緒に連れていかれることになる。
まずは、オハイオ川を渡り、奴隷制度が禁止されたオハイオ州に入ろうとする。
逃げた奴隷は、見つかれば、殺されることもある。また、自由州のオハイオ州に入っても追っかけて来た白人に見つかれば、連れ戻される。
2人は、黒人奴隷の逃亡を支援してくれる人々に次々とかくまってもらい、夜に次の隠れ家を提供してくれる人のところに逃げて行く。
食べるものもあまりなかったり、体調を崩したりするが、逃げ続ける。そして、貨車に乗せてもらいオハイオ州を縦断する。
カナダに向けて、エリー湖を渡る船に乗る直前に、白人に見咎められて、捕まりそうになるが、サミュエルの機転でなんとか逃れる。
黒人奴隷の逃亡を助けてくれる人々は「地下鉄道」と呼ばれるそうだ。
本書の物語は、実際にあったエピソードや実在の人物をモデルにしたところもあるそうである。
160年前の物語であるが、まだ、完全に差別がなくなったわけではない。早く差別がない世界が訪れることを願う。
2020年12月 初版1刷発行
発行所 偕成社
ISBN978-4-03-744790-8
C8097 \1600E