司馬 遼太郎 著
本書には、書名となっている作品と「洪庵のたいまつ」の2作品が収録されている。
この2作品は、著者が、1989年に小学校5、6年生の国語教科書のために書いたものだ。
子どものために書かれた作品はこの2編だけだそうである。
表題作は、21世紀を生きる人へのメッセージを記している。
自然を尊敬するようになる。自然の一部である人間も尊敬するようになるだろう。
自己を確立せねばならない。自分に厳しく、相手にはやさしく。
「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」
三つの言葉は、一つの根から出ているが、本能ではない。
訓練をしてそれを身につけなければならない。
しっかり根づけば、他民族へのいたわりという気持ちもわき出てくる。
21世紀は人類が仲良しで暮らせる時代になるに違いない。
著者のメッセージが、世界の人々に共有され、期待した世界が早く実現することが待たれる。
「洪庵のたいまつ」は、緒方洪庵の生き方を記す。洪庵は、名を求めず、利を求めず、人のため、そして、学問を広めるために生きた。
2001年2月12日 初版第1刷発行
発行所 株式会社 世界文化社
ISBN4-418-01504-3
C0095 \1200E