モニク・トゥルン
(Monique Truong)
吉田 恭子 訳
ラフカディオ・ハーン（小泉八雲）を愛した3人の女性がラフカディオ・ハーン（小泉八雲）について語る物語である。
ハーンは、ギリシャで、現地の女性ローザ・アントニア・カシマチとアイルランドの軍医チャールズの第二子として誕生する。
しかし、チャールズは、転任のため、アイルランドの叔母の下で、妻子の養育を考えるが、ローザは異国で子育てできず、ハーンの大叔母が引き取り育てる。
ハーンは、長じて、アメリカに渡り、翻訳家や新聞記者となり、奴隷出身の女性アリシア・フォーリーと結婚するが、やがて別離する。
そして、日本で、新聞記者や英語教授として、小泉セツと結婚して、小泉家の婿養子の小泉八雲として、日本に永住する。
英語圏で育ち、フランス語の寄宿学校でも勉強したハーンは、3人とも言葉や文化を共通にできなかったと思う。
3人の女性は、それぞの思いを一緒にいるときは、どれくらい伝えることができたのだろうか？
別離したり、永遠の別れの後、その思いを綴る。
また、3人の語る物語の間には、ジャーナリストのエリザベス・ビズランドによる、ハーンの伝記の一部が挿入されるが、ハーンの実際の姿は、あまり分からない。
ハーンが、アメリカに行った経緯も日本にきた経緯もあまり描かれない。
少し、不思議な感じの物語であった。
2022年4月10日 第1刷発行
発行所 株式会社集英社
ISBN978-4-08-773517-8
C0097 \2400E