たかはし ゆきひろ 文・絵
千島のチロヌップという小さな島が舞台である。（チロヌップはアイヌ語で狐のいだそうだ。）
島で、漁をしているじいさんとばあさんの前に子ぎつねがあらわれる。
子ぎつねは、親とはぐれたのかばあさんの小屋までついてくる。赤いリボンを首につけてやる。
子ぎつねは、じいさんばあさんに慣れて、遊びまわる。
兵隊が島に来て、狐が狙われる。子ぎつねを地蔵のそばで森に帰す。
じいさんばあさんは漁の季節が終わり島を離れる。
きつね一家は、森で暮らすが、兵隊に狙われる。
かあさんきつねは、脚を撃たれる。そして、子ぎつねは、脚を鉄のわなにはさまれる。
とおさんきつねは、わなを噛み切ろうとするができない。
兵隊が近づいてきたので、とうさんきつねがわざと飛び出して行った。
かあさんきつねは、何もできず、子ぎつねに食べ物を持って来るしかできなかった。
戦争が終わり、何回が春が過ぎ、すっかり、年をとったじいさんばあさんが島を訪ねてきた。
じいさんとばあさんは、赤いリボンのような花を錆びたくさりのそばで見つける。
作者は、滅びゆく動物に対する保護、きつね親子の愛情の強さを感じて欲しいと記している。
きつね一家の切ない物語であった。やさしいタッチの絵本であった。
1972年8月 初版発行
1984年4月 47刷発行
発行所 株式会社 金の星社
ISBN4-323-00231-9
C8793 \980E