ジョン・エガード 文
(John Agard)
きたむら さとし 絵・訳
言葉を知らない生き物がいました。
「楽しい」とか、「おいしい」とか、「あったかい」とか知らないけど、身体が表現しています。
冷たい風が吹いて、どうしていいかわからない時、「グググググググ」と声を出します。しかし、それが「かなしい」と言うとは知りません。
言葉を知っている生き物が、その様子を見ていました。
言葉を知っている生き物は、遊んでいる時は「ああ、楽しい！」と声を出します。
そして、「ああ、おいしい！」とか、「あったかい！」とか、声に出します。
目の前にいる生き物が、「グググググググ」とうめいている。言葉がなくても、「かなしいことがあるんだ」とわかった。
そこで、言葉を知っている生き物は、「ハグ ハグ」と言いながら、言葉を知らない生き物に近づいていきます。
言葉を知らない生き物は、なんだか分かりません。
やがて、言葉を知らない生き物が、ひと言「ハグ！」とつぶやきます。
そして、二人は抱き合いました。
二人は、仲良く暮らし始めます。
たくさんの言葉たちも一緒にすんでいます。
二人は、言葉のない夜を楽しむこともあります。
誰かとわかり合うと言うのはどう言うことかを伝える絵本でした。
2022年9月14日 第1刷発行
発行所 株式会社 岩波書店
ISBN978-4-00-112700-3
C8798 \1600